ドイツのブロムベルク(Blomberg)にあるAll Electric Society Factoryには、独自の産業用DCグリッドもあり、さまざまな形の再生可能エネルギーの可能性をフル活用しています。この建物は、産業における持続可能で効率的な供給電力のモデルとなっています。
650 V DCグリッドは、太陽光発電設備、バッテリーストレージシステム、および負荷をまとめて直接接続し、変換損失を低減するとともに、高いグリッドの安定性を備えた効率的なエネルギー管理を実現します。
産業におけるDCグリッド
直流 – 未来の産業エネルギーシステム 発電から保管と供給へ
現在、多くの末端機器にはすでに直流(DC)が供給されています。産業分野におけるEV充電ステーションや電気ドライブも、直流で動作します。
風力や太陽光などの再生可能エネルギー源も、直流を生成します。従来のACグリッド(交流)では、これにより多くの不要なAC-DC変換が何度も発生し、エネルギーの損失につながります。
DCグリッドでは、直流電流が供給され、貯蔵された後、ACに変換されることなく、機械やモータ、ベルトコンベアなどの負荷に直接使用されます。これにより、変換損失を最小限に抑えることができます。さらに、例えば制動エネルギーをグリッド内で保持できるため、ピーク負荷を低減することもできます。これにより、エネルギー効率が大幅に向上し、供給電力が最大80%削減されます。
DCグリッドの特長
- エネルギー回収、変換損失の削減、再生可能エネルギーの使用、またバッテリーモジュールを通してのエネルギー効率の向上
- 最大55%銅の消費削減、機器コスト削減、フットプリントの小型化による資源の最適化
- 給電ネットワークの故障による製造ダウンタイムの回避
- エネルギーフローのインテリジェントな制御の基礎
産業におけるDCグリッドの一覧
DCグリッドへの信頼 フエニックス・コンタクトは産業におけるDCグリッドの使用に関するエキスパート・パートナーです
当社は、産業と研究からの39のパートナーの1社として、ZVEIのDC-INDUSTRIE 2研究プロジェクトにも参加しました。これはドイツ連邦経済・気候保護省(German Federal Ministry for Economic Affairs and Climate Action)が資金援助していました。もちろん、フエニックス・コンタクトは設立メンバーおよび役員として、発足した ODCA(Open Direct Current Alliance)にも参画しています。
アプリケーションでのDCグリッド:プロジェクトとソリューション
DCグリッドは、変換損失を排除し、再生可能エネルギーを直接組み込むことができるため、製造現場のエネルギー効率を高めます。自動車産業などの実例が、その可能性を如実に示しています。モジュール型コンポーネントにより、安全かつ柔軟な運用を確保しています。また、資源の回収や使用量の削減により、さらなる効率化が可能になります。これは、持続可能な産業の実現に向けた重要な一歩となります。
データセンターは膨大なエネルギーを消費するため、エネルギー要件の増大、二酸化炭素排出量やコストの増加など、多大な困難に直面しています。フエニックス・コンタクトは、DCグリッドにより、効率、持続可能性、供給の安全保障の向上を達成する革新的なソリューションを提供します。変換損失の低減、再生可能エネルギーの統合の改善、二酸化炭素排出量の低減などは、その特長の一例にすぎません。当社のDC部品がグリーンデータセンターへの道を切り拓く様子をご覧ください。
DCグリッドは、変換損失を低減し、双方向充電を可能にするため、効率的な充電インフラの基盤となります。つまり、車載バッテリーを蓄電機器として、エネルギー管理システムに組み込むことができます。産業用DCグリッドは発電設備、ストレージシステム、充電インフラの間に一貫した接続を確立することで、効率および供給の安全保障を高めます。
これにより、産業用および商業用の、将来対応型の拡張可能な充電インフラが構築されます。
DC結合型バッテリーストレージシステムは、変換損失が大幅に少ないため、DCグリッドの効率を向上させます。グリッドが安定するため、再生可能エネルギーの柔軟な活用が可能になり、エネルギーコストを削減できます。
All Electric Society Factoryの事例は、リユースバッテリーとインテリジェントなエネルギー管理による、拡張可能で持続可能なソリューションを示しています。
FAQ:DCテクノロジ
産業部門は、気候目標を達成するための適切なソリューションを探しています。エネルギーコストの上昇、資源の不足、エネルギー需要の高まりが、産業界に新たな課題をもたらしています。こうした課題に対処する1つのアプローチは、ACグリッドからDCグリッドへ切り替えることです。再生可能な発電、バッテリーモジュール、エネルギー回収は、DCマイクログリッドに実装できるキーワードです。これによりエネルギー消費を削減し、ピーク負荷を軽減(ピークシェービング)が実現します。その効果は給電ネットワークを軽減し安定させます。産業向けDCグリッドの設計は、持続可能な産業生産のための1つのアプローチです。
DCベースのマイクログリッドでは、電力はカーボンニュートラルな製造からの再生可能エネルギーを効率的に統合することで発電されます。このエネルギーは、DCからACへの変換を行うことなく、DCグリッド内の負荷によって直接使用されます。これにより、変換損失を抑え、エネルギー消費を削減することができます。また、昇降工程で発生する制動エネルギーは、本来なら熱エネルギーとして失われてしまいますが、これをすべて活用することも可能です。制動エネルギーは電気エネルギーとしてDCグリッドに供給し戻すことができます。バッテリーモジュールは過剰DC電力を後で使用できるように収集します。
結果として、持続可能な発電、エネルギー回収、バッテリーモジュールを組み合わせることにより、工場における持続可能性が向上し、エネルギー効率が向上します。
DCグリッドを使用することで、エネルギー消費の削減に加えて、材料とスペースも削減できる可能性があります。
DC-AC変換を排除することにより、エネルギー損失は、約6%~8%削減することができます。さらに、適切なバッテリーモジュールを使用することで、公共グリッドからの供給電力を最大80%削減することができます。制動エネルギーを完全に使用することによっても、アプリケーションに応じてさらに15~20%のエネルギー削減が可能です。これらの要因により、DCグリッド内のエネルギー効率はACグリッドと比較して大幅に向上します。
材料とスペースの節約の点でも、可能性は大きいです。DCグリッドでは、使用される銅と絶縁材質の最大40%を節約しながら、同じパフォーマンスを維持することができます。これは資源が十分ではない時期には重要です。またDC機器はAC機器より遙かに小型です。材料支出を削減することで、さらに省スペースを実現することもできます。
直流電流を交流電流に、あるいは交流電流を直流電流に変換することには、変換にもエネルギーが必要なため損失が伴います。これによりエネルギー消費が増加し、その結果エネルギー効率が低下します。さらに、DC-ACインバータが必要です。そのためアプリケーション内に対応するスペースが必要です。このスペースは変換しないことで節約することができます。
直流電流を直接負荷に給電することで、これまでのDC-AC-DC変換の代わりになります。純粋なDCグリッドは、ACグリッドと比較して、通常エネルギー消費量が6~8%少ないため、これによりエネルギー効率が向上します。制動エネルギーを使用し、直流電流を直ちに保管することで、さらなる節約が可能です。
DCアプリケーションでは、電気アークによって接点やケース部品が損傷することがあり、最悪の場合ユーザーにも危害が及びます。このような状況下では、部品開発への新しいアプローチが必要です。研究プロジェクトで、フエニックス・コンタクトによりDCコネクタ用のさまざまなテクノロジが開発されました。コネクタの消火技術により、部品とその利用者をアーク放電の危険から保護するための革新的なアプローチが開発されています。