All Electric Society Parkには、安定した給水を必要とする植物が生い茂る緑地が数多くあります。それぞれの植物種が必要とする水や、日光や降雨量などの天候の影響に応じて、灌漑の要件は異なります。
手作業による最適な灌漑は、多大な労力を要し、コストもかさみます。また、消費量の監視も困難です。
パークの緑化地域は15の灌漑ゾーンに分割されており、最適な灌漑を実現します。各ゾーンには、バッテリー駆動のLoRaWAN土壌水分センサが設置されています。
このセンサは土壌の水分と温度、電気伝導度を一定間隔で測定し、LoRaWANゲートウェイを介してそのデータを会社専用のIoTプラットフォームに送信します。土壌の測定データと、ローカルなウェザーステーションのデータがクラウドで組み合わされます。天気予報に基づいて、オンデマンドの灌漑を各種パラメータを使用して計画または事前定義することができます。
水道メーターはデジタル接続されているため、現在の流量と水の消費量に関する重要な情報が灌漑制御システムによって考慮されます。
PLCnextとLoRaWANテクノロジの組合せは、スマート灌漑ソリューションに使用されます。効率的な灌漑制御を行うために必要なクラウド内のすべてのデータがオートメーションシステムに組み込まれています。PLCnext Controlが常に現在のセンサの値と設定済みのクラウドにあるパラメータとを比較します。アルゴリズムで、緑化地域が乾燥しすぎていると判別された場合は、対応する灌漑ゾーンのソレノイドバルブが自動的に開きます。規定量の水が放出されるか、土壌水分が通常に回復すると、バルブは再度閉まります。ローカルなウェザーステーションがデータに基づいて雨を検知すると、灌漑プロセスは自動的にキャンセルされます。
専用のIoTプラットフォームにより、ユーザーはマップ上に環境センサを配置して、収集した測定データを個々のダイアグラムにわかりやすく表示できます。
ローカル操作端末を使用すると、灌漑プロセスを開始する時間を曜日ごとに個別に定義することができます。ここで、ユーザーは個々の灌漑ゾーンの制限値を入力することもできます。時刻同期のために、NTP（ネットワークタイムプロトコル）サーバが統合されたGNSS（全地球航法衛星システム）受信機が照会されます。ソフトウェアも、システム内の漏れを高確度で検出し、アラートを生成します。さらに、PLCnext Controlは、VPN（仮想プライベートネットワーク）トンネルを介して、フエニックス・コンタクトのウェブベースのSCADAシステムであるResyliveに接続されます。このシステムは、このプラットフォームを使用して、いつでも遠隔またはローカルで構成、制御、監視することができます。また、水の消費量に関するレポートも作成することができます。
LoRaWAN（Long Range Wide Area Network：長距離広域ネットワーク）のワイヤレスネットワークテクノロジを使用してデータ通信を行います。このテクノロジは、受信範囲が広くエネルギー消費が少ないことが特徴です。これらの特性は、特に、都市圏でのIoTアプリケーションに適しています。建物の種類に応じて、LoRaWANは都市部では最大5キロメートル、郊外部では15キロメートルの範囲まで通信できます。このテクノロジは、ライセンスフリーの868 MHz ISM周波数帯を使用してデータ転送を行います。
フィールドに設置したLoRaWANセンサが、一定間隔で現在測定されている値を最寄りのゲートウェイに送信します。ここから、データはモバイルまたはイーサネット接続経由でネットワークサーバに転送されます。
Smart City Boxを使用すると、都市データを、センサから制御システムまで、簡単に組み合わせられます。データの透明性により、効率的で持続可能な生活空間のための、ターゲットを絞った最適化措置を特定しやすくなります。この汎用ボックスは、既存のインフラに簡単に接続することができます。
すべてのアプリケーションは、リアルタイムで取得されるセンサデータと無線データ伝送に基づいています。このボックスはオープンシステムアーキテクチャで、地方自治体のコンピューティングセンターやその他多数のIoTプラットフォームに簡単に統合することができます。
All Electric Society Parkのスマート灌漑ソリューションは、さまざまな植物、木、草にオンデマンドかつ効率的に資源を使用する方法で給水する様子を見ることができます。単純な、時間制御による灌漑と比べて、最大30%水の使用を抑えることができます。
この例は、他の都市部にも簡単に応用することができます。このデータは、既存の制御システムにも簡単に統合可能です。
