アプリケーション例
2024-10-09

All Electric Society Parkにおける熱カップリング 貯氷システムとヒートポンプとの間の完璧な相互作用。

All Electric Society Parkで話している人たち

簡単な概要

多くの産業や民間のセクターにおいて、暖房コストとエネルギー消費は大きなコスト要因です。ドイツ環境庁(German Environment Agency)によると、暖房セクターがドイツの全最終エネルギー消費の50%を占めています。このセクターには、ビジネスの最適化や持続可能な行動に向けた幅広い可能性が秘められています。

熱カップリングは将来有望なソリューションです。さまざまな熱エネルギーシステムを組み合わせて、エネルギー効率とリソース利用を最大化します。ブロムベルグ(Blomberg)のAll Electric Society Parkでは、パークのエネルギーの自給自足を確保するために、セクターカップリングで中心的な役割を果たします。

All Electric Society Parkのアイスフェンス

地域冷暖房ネットワークの構成単位の1つは、12 kWpのアイスエネルギーフェンス

地域冷暖房ネットワークによる効率的な熱供給

All Electric Society Parkでは、第五世代地域冷暖房(5GDHC)ネットワークが、熱供給の最大の効率とサステナビリティを確保します。この集中供給ネットワークは、キューブやパビリオン、充電パークを含むパーク内のすべてのアプリケーションの全冷暖房要件をカバーします。低いシステム温度向けに設計されており、最大35°Cまでの温度で運用可能です。

1つのネットワーク、あらゆる特長

第五世代地域冷暖房(5GDHC)ネットワークには、
数多くの特長があります。

  • 低い動作温度:5GDHCネットワークの供給温度は、従来型のシステム(約70°C)と比較してはるかに低くなっています(5~35°C)。この温度の低減により、ヒートポンプの効率を大幅に向上させることができます。

  • 高い効率:COPは「成績係数(coefficient of performance)」を意味し、生成または転送される暖房/冷却能力と、それを行うために必要な駆動力の比を示します。COP値が6の場合、ヒートポンプが、わずか1単位の電気エネルギーから6単位の熱エネルギーを生成できることを示しています。

  • 複雑なエネルギー源管理:All Electric Society Parkでは、通年エネルギー消費効率(APF)を最適化するために、7種類のエネルギー源を使用しています。これには、製造からのプロセス廃熱(300 kWp)、2つの冷却器(1,400 kWp)、E-Mobility Technical Centerからの廃熱(76 kWp)、バッテリーモジュールからの廃熱(50 kWp)、アイスエネルギーフェンス(12 kWp)、貯氷システム(55 kWp)があります。

  • 熱損失の低減、設置コストの削減:動作温度が低いため、配管ネットワーク内の熱損失が削減され、効率が向上します。絶縁材質と絶縁作業のニーズを削減することによってもコスト削減が達成されます。

  • 年間を通じた最大限の柔軟性:5GDHCネットワークの6ラインシステム(暖房x 2、冷房x 2、熱回収x 2)により、冷房と暖房、熱回収を同時に提供できます。同時に発生する暖房負荷と冷房負荷のバランスを取ることができ、特に季節の変わり目での電力配分が最適化されます。

すべてはデータから

包括的なデータの透明性とすべてのエネルギーフローの監視は、効率的なシステム運用にとって非常に重要です。60以上の熱測定ポイントと100以上の電気測定ポイントで、常時必要なデータが記録されます。パッシブエネルギー管理では、これらのエネルギーフローを評価し、アクティブエネルギー管理ではそれらを常時監視して最適化します。

ブロムベルグ(Blomberg)のAll Electric Society Parkの熱力学センタに対する知見

ブロムベルグ(Blomberg)のAll Electric Society Park内のThermodynamical Centerは、5GDHCネットワークの6ラインシステムが、どのようにして同時に暖房と冷房の負荷を調整できるのかを鮮やかに示しています。

氷の心臓部

Thermodynamical Centerは、貯氷システム、2台のヒートポンプ、インテリジェントなソース管理システムで構成され、システムの心臓部となります。これにより、パーク全体の冷房と暖房を集中的に供給します。両方の
ヒートポンプの、暖房能力は85.6 kW、冷却能力は134 kWです。

これらのヒートポンプはパークの再生可能発電で動作します。太陽光発電と風力発電の電力が不十分な場合、保存されている電気エネルギーを使用するか、グリーン電力を公共送電網から引き込みます。目的は、パークのエネルギーをほぼ完全に自給自足することです。

柔軟な融解

貯氷システムは、地下に埋められた水の入ったタンクで構成されます。凍結防止用のブライン (塩水) が循環できるように、多数の小型配管が備わっています。熱エネルギーは、抽出式熱交換器によって水から抽出され、その結果氷が形成されます。必要なときには、再生式熱交換器経由で貯氷システムに熱が供給されます。この熱は、パーク内のエネルギーフェンスや接続された製造ビル(プロセス廃熱、2台の冷却機)など、さまざまなソースから獲得します。

貯氷システムは、水が液体から固体に変化するときに、大量のエネルギーを蓄積または放出するという、固有の特性を利用しています。約334 J/gのエネルギーが放出または吸収されます。これにより、熱エネルギーの効率的な保存と放出が可能になります。貯氷システムは、パーク内のヒートポンプの効率的なエネルギー源です。貯氷システムの合計容量は103 m³です。望ましい着氷度は80~90%です。季節によって、温度範囲は0~20°Cです。

性能データ

  • 自然冷却能力:8,600 kWh
  • HP(ヒートポンプ)の暖房能力:2 x 42.8 kW(5~7 K)
  • HP(ヒートポンプ)の冷却能力:2 x 41.6 kW(3 K)
  • HPと貯氷システムの冷却能力:134 kW(5 K)

「バッファストレージ」のエネルギー管理の大きな課題は、消費者に対して常に十分な冷房または暖房を供給することです。つまり、暖房期間(冬期)の終わりには、氷のブロックが理想的に形成され(80~90%の氷カバレージ)、冷房期間(夏期)の終わりには、再び融けます(水温20°C)。貯氷システムがヒートポンプの効率的なソースとして機能するためには、これが唯一の方法です。

著者: Phoenix Contact

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フエニックス・コンタクト株式会社
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