給電管理2.0:追加機能を備えた電力制御ユニット フエニックス・コンタクトは太陽光発電システム用に、認定ソリューションを提供します。
簡単な概要
送電事業者は、送電網の安定性をリスクにさらすことなく、再生可能なエネルギー源から生成されたエネルギーを、できるだけ多く供給することが義務づけられています。電力制御ユニット、つまり発電所向けのコントローラは、有効電力と無効電力を制御し調整するために使用されます。しかし、フエニックス・コンタクトの認定機器には、基礎となるPLCnext Technologyにより遙かに多くの機能が備わっています。
給電管理を備えた太陽光発電システムのシステム概要
発電とグリッドの品質:エネルギー革命の課題
ドイツ連邦経済エネルギー省によると、再生可能エネルギーはドイツで最も重要な電力源とされています。エネルギー革命の中心となる柱として、電力消費に占める割合は2000年の6%から2022年の46%へと、成長を続けています。2022年末には、再生可能エネルギーの一部として約260万基の太陽光発電システム(PV)が、約66 GWの電力を生成しました。しかし、低電圧および中電圧送電網に設置される太陽光発電システムの着実な増加には、大きな課題があります。分散型発電所は、送電網の品質を確保することにも貢献しなければならないからです。
その評価の重要なパラメータとして、周波数と電圧が使用されます。主線の周波数は送電網の有効電力バランスに依存します。発電機が、負荷が必要とする以上の有効電力を送電網に供給すると、主線の周波数が増加します。一方主線電圧は、グリッドの無効電力バランスに影響されます。ここでは、無効電力の需要が増加すると、主線電圧の低下につながります。
技術的および規制上の要件
分散型発電所は、電力品質に大きな負の影響を持つことが多いと言われます。これは主に、システムのパフォーマンスに大きく関わる風や太陽などの外的条件が、制御も適切に計画することもできないためです。これらのシステムが既に、主線の周波数や主線電圧の安定化のための技術的前提条件を提供していることは忘れられています。電力消費に占める再生可能エネルギーの割合が、中期的に大幅に増加すれば、エネルギー貯蔵システムを大幅に拡張することが必要なのは明らかです。
発電に加えて、電源供給における全般的なタスクも解決する必要があります。例えば、電力市場の自由化には、国境を越えた電力伝送が伴うことがますます多くなっています。論理的帰結として、いわゆる「ネットワークコード – 発電機の要件」で、欧州仕様が採用されました。このネットワークコードは、欧州に設置された発電システムが対象となる、送電網接続の規則を記述しています。できるだけ良いメリットを達成するため、個々の国の国内条件に合わせて適合させる必要があります。
ほとんどの商用システムの妥当性
これを背景として、VDE(German Electrical Engineering, Electronic, and Information Technology Association、ドイツ電気技術者協会)は、ドイツ連邦経済エネルギー省に代わって、すべての電圧レベル向けに4つの国内アプリケーションルールを開発しました。指令の1つとして、VDE-AR-N 4110「中電圧の技術的接続ルール」が、BDEW(ドイツ連邦エネルギー・水道事業連盟)の中電圧指令を置換します。2019年4月以降、VDE-AR-N 4110は、出力135 kW、電圧範囲1~60 kVのすべての新規発電所で、必須になっています。そのため、アプリケーションルールはほとんどの商用太陽光発電システムに影響します。
VDE-AR-N 4110/20の1つの側面は、認定給電管理コントローラのみの使用を義務付けています。電力制御ユニットにより、グリッド接続ポイントでの有効電力および無効電力のセットポイント、ならびに指定された制御手順に従っていることが確保されます。セットポイントは、第三者(遠隔制御技術により送電事業者または直接販売者)により、またはVDE-AR-N 4110/20で定義される特性曲線の枠組み内で決定されます。
フエニックス・コンタクトの認定電力制御ユニットを含む完全な開閉装置と制御装置の組立て
社内の複雑なソリューションの認定
電力制御ユニットの電気特性の認定向けの関連指令として、FGW TR8を使用する必要があります。これらの電気特性の測定と試験に関しては、FGW TR3を使用する必要があります。最後に、電気特性のシミュレーションモデルのモデル化と検証は、FGW TR4の対象となります。
PGSコントローラ向けのいわゆるコンポーネント認定を取得することに関する作業は、技術的にも経済的にも多大な労力を要します。特に太陽光発電では、ドイツでは市場が非常に分裂しており、特別に開発されたコントローラーの認定は、多くのシステム設置者にとっては価値がありません。少なくとも、接続指令への準拠と同様に重要な側面は、コントローラを柔軟に使用することです。
複数の機能をわずか1台の機器に
これを背景として、フエニックス・コンタクトは認定前に、このソリューションの基盤となる産業用コントローラーが提供するさまざまな可能性なしで、規格への準拠をどうやって確保するかという疑問に対処しました。これは現在の、オープンPLCnext Technologyに基づくPLC世代が、ハードウェアとして使用されているためです。
このテクノロジにより、IEC 61131、C/C++、C#、Matlab Simulinkなどのさまざまなプログラミング言語を1つのプロジェクト内で使用可能になるだけではありません。各種機能を単独の機器に組み合わせることもできます。フエニックス・コンタクトはユーザーに、すべてを備えたソリューションを提供するのではなく、アプリケーションに関して必要なシステムとプログラミングの知識のあるユーザーを特に対象としています。例えば初期プロジェクトでは、認定制御機能に加えて、同じ産業用コントローラに遠隔制御接続が実装されました。通常このようなタスクには、2つの別々の機器が使用されるため、このようなアプローチはコスト効率が優れ省スペースです。
PLCnext Controlにより、さまざまなソフトウェアツールによるプログラミングコードの開発と、さらには機器の並列実行まで可能
容易な試運転のためのサンプルアプリケーション
上記のソリューションの試運転中にお客様をサポートするため、フエニックス・コンタクトは、電力制御ユニットのコンフィグレーション用のウェブアプリケーションを含む遠隔制御技術のカップリングのサンプルアプリケーションを提供しています。各要求事項に特化したインターフェースの実装を例外として、さらに調整する必要はありません。ただし、追加の機能を必要に応じて追加することができます。制御モード、標準PIDコントローラパラメータのコンフィグレーション、特性曲線補間ポイントの設定、リップル制御レシーバのビットパターンの保存、試運転中のすべての重要なネットワークおよびコントローラのパラメータの記録は、このアプリケーションに含まれます。
またフエニックス・コンタクトは、電力制御ユニットの要求事項に特化したインターフェースを実装するための、追加のファンクションブロックライブラリも提供します。とりわけ、遠隔制御技術を介して分散型システムを統合するためのモジュールが含まれます。さらに、太陽光発電特有の機能モジュールにより、インバータ、エネルギーメーター、メーカー独立のポータルへの接続との通信が簡単になります。