暗い凪とはなんでしょうか。 どのように対抗したらよいでしょうか。
Dunkelflaute/暗い凪:日光も風もない状態
実際のところ、暗い凪の包括的で統一された定義はありません。しかし、用語の意味に沿って解釈すれば、日光も風もない時間帯が長く続くことを意味します。つまり、注目しているのは暗さと凪が同時に起きることです。
その結果、ソーラーパネルも風力タービン発電機(WTG)も、再生可能エネルギーシステムによる供給電力の出力に達しません。これをさらに一歩進めると、暗い凪によって供給電力に著しい低下が生じます。これは、エネルギーニーズを再生可能なエネルギー源で持続可能な方法でカバーすることを目標とする社会にとっては、課題となります。
暗い凪はどの程度の頻度で起き、実際にどれぐらいの期間続きますか。
特に冬季、電気の需要と供給が大きく乖離する可能性が高くなります。寒く暗い期間のエネルギー要件は、単純に暖房と照明のニーズが増えるという理由で高まります。同時に、日が短くなります。その結果、日光を利用できる時間は短くなります。それに風が弱い時期が重なると、ドイツ連邦環境庁が「冷たく暗い凪」という用語で表する状態になります。
興味深いことに、このような「冷たく暗い凪」は環境期間からの情報に基づいて、明確に定義される時間枠内で発生します。ほとんどの場合、これは1月23日~2月6日までのわずか2週間の期間に関係しています。これは、エネルギー需要の増加をカバーする従来型の発電所で明らかになった2006年~2016年の測定により示されました。ドイツの公共放送ラジオ局Deutschlandfunkによると、ケルン(Cologne)の科学メディアセンターは、2015年~2020年の冬季の間に発生した3回の長期電力供給不足について具体的に報告しました。
ストレージシステムが、効果的に暗い凪に対抗するための方法としてそれほど重要なのはなぜでしょうか。
バッテリーやバッテリーパックは、バッテリーモジュールの中でもよく知られている形態です。しかし、電気エネルギーの耐久性を確保するためには、他のオプションもあります。すべてのストレージタイプは、エネルギーの形態を変換して「ストレージ対応」にして時間的に切り離して使用することができるようにする原理に基づいています。そのプロセスで、不安定な電気は化学エネルギーなどに変換されます。
よく知られた例としては、いくつかのバッテリータイプの他に、水を水素と酸素に電解する幅広いPower-to-Xもあります。バッテリーモジュールシステムは、例えば揚水式ストレージプラントや圧縮空気ストレージシステム、回転式フライング質量ストレージシステムなど、動作原理として位置と運動エネルギーに頼るものもあります。氷蓄熱式システムなどの熱ユニットも、電気ベースの熱移動という面においてますます重要になってきています。
暗い凪に対抗するために、バッテリーで何ができるでしょうか。
風力発電基地を産業用バッテリーストレージシステムと組み合わせれば、システムは暗い凪に対抗する機能ブースターを得ることができます。ここでは、風があって必要な量より多くの電流が生み出される時に、生成された(通常は余剰の)エネルギーをストレージシステムが収集します。
一方で、凪がある場合は、電気はストレージシステムから供給することができます。そのため、バッテリーはバッファとして機能し、暗い凪にもかかわらずグリッドの安定性を確保するのに重要です。このセットアップは、政府の資金援助期間が終了した古い世代の風力発電基地にとって特に興味深いです。同じ動作原理が、太陽光発電システムとの組合せにも当てはまります。日光からの発電量が要件よりも高ければ、保存されます。厚い雲が空に広がっている場合は、ストレージシステムが明確にグリッドに給電します。
暗い凪と負荷管理の共通点はなんでしょうか。
供給の安全保障に関して、暗い凪の影響を制限するために利用できる技術的オプションは、現在、ピーク負荷管理またはピークシェービングという用語で、ビル管理とファクトリーオートメーションで注目されているものと比較することができます。
ピーク負荷はコストがかかり、供給ネットワークに負担をかけます。バッテリーモジュールを使用すると、ピーク消費をなだらかにすることができます。つまり、電力需要の変動をそぎ落とす(シェービング)方法なのです。これが「ピークシェービング」という用語の由来です。そのためストレージシステムは、グリッドに調和をもたらす優れた方法です。これは、発電と電力消費がセクターカップリングで調和する場合に、さらに効果的になります。
All Electric Societyにおいて、暗い凪の間にセクターカップリングは何ができるでしょうか。
効果的なエネルギーネットワークは、例えばビルや製造システム、ストレージシステム、太陽光発電システムの、エネルギーとデータ関連の接続などによって、セクターをカップリングすることで作ることができます。これにより、エネルギーフローをスマートマイクログリッド内に移動させることができます。
エネルギーの消費者と生産者の密接な接続により、バランスを達成することができます。全体を、セルフレベリングシステムに例えることができます。さらに、セクターカップリングによって、多様な交差接続と依存関係のある完全なシステムを制御することができるようになります。セクターカップリングは、暗い凪と効果的に闘いながら、All Electric Societyへの道を開くための鍵でもあります。
ポイント:
暗い凪は、自然に発生するものであるため、回避できません。日光も風もない時間帯が長く続くのは、1年を通して評価するとまれであることは、研究によって明らかになっています。インテリジェントなセクターカップリング、デジタルな方法による情報取得、特にバッテリーモジュールの利用により、暗い凪の影響は、既に現在適用されている標準のテクノロジを使用することで効果的に制御することができます。