2024-02-23

エネルギー貯蔵システムはセクターをつなぎますが、エネルギー貯蔵システムを接続するものは何でしょうか。 エネルギー貯蔵システムの安全な運用とAll Electric Society実現にとっての革新的な接続テクノロジの重要性。

コンテナデザインのバッテリーエネルギー貯蔵システム

簡単な概要

静的なエネルギー貯蔵システムは、セクターカップリングの重要なリンクです。これらのシステムの安全性と信頼性は、使用される電気接続テクノロジに特に依存します。これにより、他の機器に影響を与えない電力とデータの伝送が可能になります。

All Electric Societyのバッテリーモジュール

気候変動を緩和し、地政学的依存を削減することは、現在の重要な問題の1つです。セクターカップリングによるAll Electric Societyの考えが、ソリューションを提供します。社会やビル、製造施設、モビリティ、インフラを、エネルギーとITの世界のみに集中でネットワーク化することが重要です。All Electric Societyでは、無制限に利用でき、有害な排出物を出さない再生可能なエネルギー源を使用して、これを実現します。

風力発電と太陽光発電は、常に利用できるわけではありません。しかし、現代社会は1日24時間、常にエネルギーを欲しています。例えばバッテリーエネルギー貯蔵システムを使用して、十分な量の余剰エネルギーを保存して、後で必要な時に利用できるようにする以外に、安定した供給を実現する方法はありません。

バッテリーセルとバランシングプリント基板を備えたバッテリーモジュール

バッテリーセルとバランシングプリント基板を備えたバッテリーモジュール

構造と操作方法

これらの静的システムは、容量に応じて機器ケース、制御盤、またはコンテナにも設置することができます。しかし、基本的なモジュール型構造は常に同じです。電気接続には、電力接続、信号接続、データ接続の3種類があり、エネルギ―フロー、監視および制御用のアナログ信号、デジタル信号の伝送と同等です。

エネルギー貯蔵システムの最小単位はバッテリーセルで、実際のストレージエレメントです。これらのセルは、バッテリーモジュールで多数組み合わされ、電気的に相互接続されています(電力)。電子回路により、すべてのセルの充電/放電のバランスのとれた状態を確保します。これはセルバランシングと呼ばれます(信号)。温度センサはセルの熱挙動を監視します(信号)。

電力制御ユニットとバッテリーモジュールのあるバッテリーラック

上部の電力制御ユニットと複数のバッテリーモジュールで構成されるバッテリーラック

複数のバッテリーモジュールを組み合わせて、ストレージキャビネットが作成され、電力レベルで接続されます。すべてのモジュールは互いに、また電力制御ユニット(PCU)と呼ばれるストレージキャビネットの制御ユニットと、情報(データ)を交換します。例えば外部センサを接続できるように、バッテリーモジュールとPCUは、電力・データ接続に加えて、信号インターフェースも備えていることが多いです。

エネルギー貯蔵システムのモジュール型構造

システム内には、複数のストレージキャビネットが、電力、信号、データという前述の3つのレベルで相互接続されています。最上位にある上位レベルのコントローラが、システム管理を表します。ストレージキャビネットのすべての電気接続は、ここで再び合流します。また、エネルギー貯蔵システムの外部インターフェースも含まれます。エネルギーはパワーエレクトロニクスによってグリッドと交換されます。さまざまな補助ユニットからの信号は、例えば消火システム用に、システム管理で合流します。システム管理は、ストレージシステムにアクセスできる送電事業者およびサービスプロバイダーと、対応するデータ接続経由で通信します。

エネルギー貯蔵システムの心臓/血管系

エネルギー貯蔵システム内の電気接続は、例えるならば身体の心臓/血管と神経システムと言えます。エネルギーの流れは重要なエネルギーが運ばれる循環系であり、信号は温度やガス・視覚的な変化など、当社の存在意義を象徴しています。データ配線は、神経のように、情報交換に使用されます。循環系や神経系で何か不調があると、具合が悪くなります。エネルギー貯蔵システムでも同じです。電気接続に障害があると、システムの誤動作や故障につながり、場合によってはシステム全体が破壊されることもあります。

接続テクノロジにおける障害の例

3つの例で、接続テクノロジがいかに重要かを説明します。最初は電力配線です:

  1. 多くの場合、バッテリーモジュールを電力レベルで接続するには、従来型のねじ接続方式が使用されます。ねじ接続方式は、不利な条件下では緩むことがあります。最初から、またはその後のメンテナンス中に、正しく接続されていないと、これは接触抵抗の増加につながります。これは、よくても熱損失が生じます。しかし、最悪の場合のシナリオでは、過度の過熱により、実際にストレージシステムで火災が生じ、完全に破壊されてしまいます。

  2. 典型的な信号接続は、電流センサケーブルからプリント基板への接続です。この接続は、直接はんだ付けされることが多く、片側フリーエンドと共に、いわゆるコールドソルダリング点のリスクを伴います。これにより、電流測定値が低すぎるなど、正しくない信号情報が発生します。その結果、以上に高い充電および放電電流が発生し、バッテリーの寿命が大幅に縮まります。

  3. データ接続は、パッチケーブル、つまりプラグインケーブルを使用して行われることが多いです。ここで、例えば厳しい寸法公差や高品質のコンタクト表面など、品質に注意しないと、データ伝送中に障害が起きることがあります。これによりシステムの誤作動や、システム故障さえ起きることがあり、最悪の場合ハードウェアが損傷することもあります。

エネルギー貯蔵システム用接続テクノロジ

エネルギー貯蔵システムで使用される、電力、信号、データ用の革新的な接続テクノロジ

接続方式の選択の推奨事項

エネルギー貯蔵システムを運用するすべての人にとって、ここで説明した障害は、最終的には必ず金銭的損失になります。では、どうやって防いだら良いのでしょうか。電力接続に関しては、定義された設置条件を確保できない場合は、必ずコネクタを使用します。そのためこれは、設置とメンテナンス中に確立しなければならない電力接続に当てはまります。

片側フリーエンドをプリント基板に接続する場合は、はんだ付けより革新的な接続テクノロジの方が優れています。例えば圧接接続方式では、電線端の事前準備が一切不要で、スプリング接続方式と同様に、高いレベルの利便性と最大級の信頼性を提供します。データ接続の場合は、要件は周囲条件によって定義されます。そのため、高い汚染度や高湿度環境では、IP保護された通信用コネクタが理想的ですが、厳しい機械的条件の場合には、産業機器用のデータ接続を使用します。

ポイント:

エネルギー貯蔵システムに関しては、初期投資を節約すると運用中のコストが高くなります。さらに、これらの機器とシステムは、システム関連アプリケーション内で運用されることが多いです。そのため、All Electric Societyのビジョンを実現する上で、信頼性は重要な要素です。ここでは電気接続が決定的な役割を果たします。そのため、それにふさわしい適切な注意をはらうべきです。

著者: Dr. Rüdiger Meyer

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フエニックス・コンタクト株式会社
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