WirelessHART

信頼性のあるプロセス産業のワイヤレス通信

WirelessHARTのロゴ

HART(Highway Addressable Remote Transducer)はインテリジェントなプロセス計装のためのグローバルプロトコル標準です。現在、世界中で3,000万台を超えるHART互換デバイスがシステムに設置されています。しかし全能力を使用しているデバイスは全体の10%しかありません。

WirelessHART標準はユーザーがHART対応デバイスの能力をより効率的に活用できるようHART Foundationが開発しました。フエニックス・コンタクトのWirelessHART製品は既存のアプリケーションにすばやく組み込むことができます。

WirelessHART:初の産業用アプリケーション向けワイヤレス標準

2007年にHART Communication Foundationは産業用アプリケーション用途向けに特別に開発した初のワイヤレス標準を発表しました。WirelessHARTはHART 7標準のサブセットでプロセス測定アプリケーション用途向けに設計されたエネルギー効率のよいワイヤレステクノロジです。4~20 mAのシグナル線を増減できます。

WirelessHART標準は堅牢で信頼性のあるテクノロジをベースにしています。数点の設定パラメータだけでほぼすべてのデバイスタイプで簡単に使用できます。

グローバルワイヤレステクノロジ

10 mWのワイヤレストランシーバを接続したIEEE 802.15.4ワイヤレスモジュール形式のWirelessHARTで世界中どこでもライセンスフリーの2.4 GHz ISM周波数帯でワイヤレス伝送できます。802.15.4およびZigBeeに準拠するワイヤレスモジュールはエネルギー効率の良いワイヤレスネットワークのベースとして使用されることがよくあります。

WLANとWirelessHARTチャネルの比較

WLANとWirelessHARTチャネルの比較

WirelessHARTプロトコルはOSIモデルの上位4層を使用しており低消費電力という点で他のワイヤレスシステムよりもはるかに優れています。信頼性のある並列運用が可能でワイヤレスチャネルの最適管理に多くの可能性を提供します。

これにはDSSSとFHSS周波数拡散および周波数ホッピング方式の組合せ、CCA(クリアチャネル評価)テクノロジ、短時間伝送、ブラックリスト機能が含まれます。

フルメッシュネットワーク

自己修復型フルメッシュネットワーク  

自己修復型フルメッシュネットワーク

WirelessHARTの特長は自身でメッシュネットワークの構築とコンフィグレーションができることです。ネットワークのどの終端デバイスも複数のパスによる冗長性のある通信が可能です。このときの自由空間距離はおよそ250 m、物理的な設置サイズは通常50~100 mです。

このことから、すべての機能を備えいつでも使用できるネットワークノードがいつでも利用できるようになります。フルメッシュネットワークが全自動で自己組織化します。また自己修復力もあることから長期的な信頼性と予測可能性が確保されており、刻々と変化する環境にも対応できます。

メッシュネットワークに配置されているデバイスで他のデバイスの自動検出、ワイヤレスシグナルの強度測定、同期および周波数ホッピングデータの収集ができます。指定により他のデバイスに接続したり接続を中断することもできます。ネットワークとネットワークノードには一意のIDがあり、誤ってデータを共有したりシグナル経路を間違えたりすることなく複数のネットワークを並列で運用できます。

時間同期通信

エラーフリーのワイヤレスチャネル管理と完全に機能的なネットワークの構築は正確なデータ伝送タイミングを頼りに実現します。

WirelessHARTネットワークは時分割多元接続(TDMA)を採用しており、時間とともにスペクトラムがどのように使用されるかを管理しています。毎回10 msのウィンドウ(タイムスロット)そして15チャネルのいずれかで正確なタイミングで伝送されます。通信がない場合デバイスは待機モードになりエネルギーを節約します(多くのデバイスがバッテリー駆動です)。

安全な情報転送

情報のセキュリティは暗号化、認証、データ完全性機能で保証されます。128ビットAES暗号化は第三者による不正アクセスからデータを保護します。

認証ステップで発信者側IDの妥当性をパケット発信元アドレスにもとづいて検証し、いわゆる32ビットのメッセージ完全性符号(MIC)で保護します。完全性保証により情報は変更されることなく同じMICから確実に送信されます。また周波数ホッピングにより疑似ランダムホップシーケンスで一定レベルのデータセキュリティが実現されます。

WirelessHARTネットワーク

セキュリティを確保したネットワークを確実に形成するために、すべてのデバイスは認証を受けた後にネットワークに参加する必要があります。ネットワークデバイスはネットワーク情報をビーコンと呼ばれる小さなデータパケットの形にして定期的に送信し発行します。

ネットワークに参加する新しいデバイスは最初にこのデータパケットを受信する必要があります。ビーコンが届いたら新しいデバイスは上位のWirelessHARTネットワークマネージャに参加リクエストを送信します。

新しいネットワークデバイスの認証プロセス

新しいネットワークデバイスの認証プロセス

参加リクエストはデバイスに設定されているネットワークID、参加キー、その他のID情報で構成されています。ネットワークIDと参加キーがネットワークマネージャに承認されると、認証情報、ネットワークの通信経路、デバイスがデータを伝送するタイムスロットが新しいデバイスに返されます。

その後デバイスはネットワークに完全参加してデータの送信や発行を開始できます。

3種類のWirelessHARTデバイス

WirelessHARTゲートウェイWirelessHART測定デバイスWirelessHARTアダプタ
WirelessHARTゲートウェイWirelessHart測定装置WirelessHARTアダプタ
機能範囲Wirelessアクセスポイント
+
ネットワークマネージャ
+
ゲートウェイ
ワイヤレスモジュール
+
測定モジュール
+
電源
ワイヤレスモジュール
+
既存デバイスの
接続
用途範囲ホストシステムに接続ワイヤレス測定有線測定デバイスを
WirelessHARTに接続

HART標準では次の3つの部品で構成するデバイスをWirelessHARTゲートウェイと呼んでいます。

  1. 個別フィールドデバイスを接続するワイヤレスモジュール(ワイヤレスアクセスポイント)。
  2. 中央制御ユニット(ネットワークマネージャ)として機能するソフトウェア、ネットワーク接続の制御、ネットワークセキュリティの保証、フィールドデバイスの認証を行います。ネットワークマネージャもネットワークのデータトラフィックを最適化し、指定の間隔でデータを伝送するために必要なリソースをそれぞれのデバイスに提供します。
  3. 実際のゲートウェイ、システムネットワークまたはホストシステムとWirelessHARTネットワークのインターフェースとなります。この3つの部品が1つのパッケージに含まれていることもあれば組み合わせて使用することもでき、後で複数のアクセスポイントを追加することもできます。

WirelessHARTデバイス(通常はワイヤレス測定デバイス)は測定またはモニタリング機能を組み合わせたワイヤレスモジュールで構成されています。既存のシステムを簡単に拡張してすぐに新しいシステムで使うことができます。

配線コストや環境の制約により従来利用できなかった測定点も簡単に組み込むことができます。WirelessHARTデバイスはソーラー、2線式、バッテリーで給電できます。

WirelessHARTアダプタで既存の有線HARTデバイスとWirelessHARTネットワークを接続できます。アダプタを既存の4~20 mAの配線に接続してHARTシグナルを収集できますが、影響を受けることなく機能はそのまま利用できます。

1つのWirelessHARTアダプタで複数のデバイスのHARTシグナルを収集でき設置コストを抑えることができます。WirelessHARTアダプタは2線式、ライン、バッテリーで給電できます。アダプタの主なアプリケーションはすでに設置されているHART機能のないホストに接続するHARTデバイスからHARTシグナルを収集することです。

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