OPC UAは何を意味するでしょうか。
オープンプラットフォームコミュニケーション統一アーキテクチャ(略称OPC UA)は、2008年にOPC Foundationが発表したプラットフォームに依存しない通信規格です。IEC 62541において国際的に標準化され、ハードウェアやソフトウェアのオートメーションサプライヤによって世界中でサポートされている規格です。
OPC UAは通信プロトコルだけではなく、送信オブジェクトの意味についても説明しています。また、産業環境におけるあらゆるシステムに対するアクセスを標準化し、機器間でメーカーに依存しないデータ交換を可能にします。
OPC UA FX:フィールドからクラウドまでの統一された通信規格
OPC UA FX(Field eXchange)
OPC UA FXは「Field Level Communications Initiative」において開発中のOPC UA仕様です。これによって、高位の通信レイヤでのみ使用されていた規格がフィールドレベルで使用可能になります。また、フィールドレベルでオートメーションコンポーネント間のプロセスおよびコンフィグレーションデータをメーカー間で交換できるようになります。
そのためOPC UA FXは、入出力、安全性、モーション等に関連する工場オートメーションおよびプロセスオートメーションに関するさまざまなアプリケーションプロファイルで既存のプロトコルを拡張します。さらに、ネットワーク内の機器の統一構成や統一機器診断用に標準化された機器モデルが定義されています。高度な互換性に対する必要な適合性テストもまた記述されています。この組合せにより、将来フィールドデバイスを幅広くクラウドに接続できるようになり、ITとOTが常に接続されるようになります。
OPC UAの主要な特長
通信メカニズム
長期にわたり、OPC UAはクライアント/サーバテクノロジの形をとってきました。しかしこの手法には、特にクラウドを利用する場合に限界があります。このため、OPC UA PubSub仕様を介した無接続通信を包含するようOPC UA 2018が拡張されました。クライアント/サーバとPubSubは同じ名前スペースの情報を使用します。ネットワークおよび機器内では、両方のアプリケーションが同時に利用できます。
クライアント/サーバ通信の場合、クライアントが情報を要求し、サーバから応答を受信します。
クライアント/サーバ通信の付いたOPC UA
クライアント/サーバ通信の付いたOPC UAは、オートメーションにおいて広く利用されています。実績のあるこの通信メカニズムでは、ポイントツーポイント通信を介してOPC UAクライアントがOPC UAサーバへのアクセスを受信します。これによってOPC UAサーバは、クライアントの要求を処理し、応答を返信することでOPC通信の基礎を形成します。したがってOPCクライアントは通信セッションを確立したOPCサーバの論理的な相手先となります。一般的に、ネットワークに多数の機器が存在するとクライアント/サーバ通信は限度に達する場合があります。
PubSub通信の場合、サーバはデータをネットワークに送信します(Publish:公表)。各クライアントはこのデータを受け取ります(Subscribe:登録)
PubSub通信付きOPC UA
PubSubモデル付きのOPC UAの場合、通信はコネクションレスで確認されません。PubSubとは発行と登録(Publish and Subscribe)を表します。サーバがネットワークにデータを送り(Publish:発行)、各クライアントがこのデータを受領できるようになる(Subscribe:登録)できるためです。データの暗号化と解読を行うためには通信を行う双方が同じセキュリティ資格情報を有していなければなりません。ある発行者がネットワーク上の多数の登録者が受信するデータを提供することもあれば、多数の発行者が1人の登録者に情報を送信することもあります。したがって、OPC UA PubSubは直接IoT通信やフィールドレベルの高速巡回プロセスに特に適しています。
OPC UA PubSubとTSNは、制御レベルおよび機器レベルでリアルタイム対応の集中的な通信を可能にします。
OPC UAとTime-Sensitive Networking
Time-Sensitive Networking(TSN)と組み合わせることにより、OPC UA PubSubは、制御レベルおよび機器レベルでリアルタイム対応の集中的な通信を可能にします。OPC UA PubSubは、高い同期性、決定性、収束性によりタイムクリティカルアプリケーションの要件を満たします。時間の同期とデータの優先順位付けにより、TSN有効化ネットワークにおいてIT通信およびOT通信がネットワーク内でお互いに影響したりしないことが確保されます。
OPC UAはアーキテクチャの安全な使用に関する基本メカニズムを含んでいます。
OPC UAとサイバーセキュリティ
ネットワークの中心コンポーネントとして、OPC UAは組込型の多数のサイバーセキュリティメカニズムを有しています。特殊セキュリティレイヤはサービスや機器の認証、暗号化、署名、およびトークン、証明書、ユーザー名およびパスワードによるデータの認証について定義します。役割や必要なセキュリティ資格情報は、標準化された手法で集中管理され、配布されます。
OPC Foundationへの関与 将来に向けた規格
均一でメーカー間の通信規格を取得するため、フエニックス・コンタクトとその他の企業は、OPC UAをフィールドレベルまで標準化させようとするOPC Foundationの作業をサポートします。 フエニックス・コンタクトはこのイニシアチブを牽引するリーダー企業の1社として、OPC Foundationのワーキンググループに積極的に参加し、センサからアクチュエータ、コントローラまで、OTのすべての機器の将来的な基準の定義を支援しています。
その他の新しい通信技術 フィールドまで一貫性のある通信
OPC UA、TSN、SPE、5Gなどの新しい通信規格が、さまざまな委員会や標準化プロジェクトで現在作成されています。しかしこれらの新しいテクノロジは、それぞれ独立したものとして考えるのではなく、むしろ共に将来の通信を形成していくものです。
工業用通信テクノロジの分野で30年を超える経験を持つテクノロジ大手のフエニックス・コンタクトは、すべての主要な標準化委員会に積極的に参加しています。 これらの委員会で、当社は自動化のための異なるメーカー共通の新しい通信規格の形成を支援しています。
新しい規格の詳細を当社ウェブページでご確認ください。