端子台の機械的試験 機械的試験は、端子台の圧着部と絶縁ハウジングの試験に主に使用されます。これらの試験は、安全な接続容量と、端子台が電線の動きや電線引抜き、外部の影響に耐える能力に重点を置いています。
機械的試験
機械的試験は、端子台の圧着部と絶縁ハウジングの試験に主に使用されます。これらの試験は、安全な接続容量と、製品が電線の動きや電線引抜きに耐える能力に重点を置いています。さらに、端子台の機械的強度と周囲条件の影響も試験されます。このような品質試験を実施することで、機械的特性に関して高い品質規格をお客様に保証することができます。このページでは、端子台のさまざまな機械的試験をご紹介します。迅速で明確な概要のため、このページで説明する試験と規格は、下記に順に記載されています。
ゲージ
電線接続容量 (IEC 60947-7-1/-2)
この機械的試験は、メーカーの情報に従って標準電線の接続を規定します。端子台の設計には、導電性のものを使用する必要があります。
電線を接続できるように設計する必要があります。仕様書はメーカーにより、メートル法(mm²)および帝国単位系(AWG)で記録されます。定格断面積とは:特定の熱的、機械的および電気的要件が示すすべての接続可能な電線(撚線および単線または細撚線)の可能な最大断面積の値を意味します。定格接続容量とは:最大から最小の接続可能な断面積(少なくとも2サイズ小さい電線)と端子台が設計されている接続可能な電線の数を含む範囲。試験中は、端子台は定格断面積および定格接続容量で接続されます。あるいは、ゲージを使用して定格断面積を確認することもできます。(図を参照。)電線またはゲージを開放された接続ポイントに自由に挿入、あるいは接続することが可能でなければなりません。フエニックス・コンタクトの端子台は、規格よりもはるかに大きい定格断面積の寸法を提供します。最適な設計により、定格断面はCLIPLINE completeシステムの全端子台で絶縁スリーブ付きフェルールを接続することができます。
表:電線接続容量
適切なゲージを選択するための表
フォーム | 直径「a」 | フォーム | 直径「a」 | |
---|---|---|---|---|
電線 | ||||
1.5 mm² | A1 | 2.4 mm | B1 | 1.9 mm² |
2.5 mm² | A2 | 2.8 mm | B2 | 2.4 mm² |
4 mm² | A4 | 3.6 mm | B4 | 3.5 mm² |
6 mm² | A5 | 4.3 mm | B5 | 4.4 mm² |
10 mm² | A6 | 5.4 mm | B6 | 5.3 mm² |
16 mm² | A7 | 7.1 mm | B7 | 6.9 mm² |
35 mm² | A9 | 10.2 mm | B9 | 10.0 mm² |
50 mm² | A10 | 12.3 mm | B10 | 12.0 mm² |
70 mm² | A11 | 14.2 mm | B11 | 14.0 mm² |
95 mm² | A12 | 16.2 mm | B12 | 16.0 mm² |
150 mm² | A14 | 22.2 mm | B14 | 20.0 mm² |
240 mm² | A16 | 26.5 mm | B16 | 26.0 mm² |
ハンドセーフティ:直径50 mmのテストボール
感電防止 (IEC 60529)
電気設備およびプラントは、メンテナンスを実行する際や、測定および試験作業中、保守技術員に高レベルの安全性も提供する必要があります。BGV A3では、帯電部品の近辺での一般的作業に対して、影響される定電圧システム部品の電圧フリー状態を、最大1,000 V ACおよび1,500 V DCと定めています。感電を防ぐため、帯電部品はカバーまたはバリアの使用によって直接接触しないように保護しなければなりません。そのためフエニックス・コンタクトの端子台は、電気技術者または教育を受けた人員に対して、EN 50274に基づく感電保護を提供します。EN 50274に基づく試験中、試験プローブが動作方向から試験対象物に導かれます。試験プローブと帯電部品の間の電気的接触が生じてはなりません。接触安全性は10 Nの試験荷重で試験され、ハンドセーフティは50 Nで試験されます。フエニックス・コンタクトの端子台は、主にDIN EN 50274に準拠して設計されています。詳細は、製品ドキュメントを参照してください。
規格に準拠した屈曲試験向けの試験用機器
屈曲試験 (IEC 60947-7-1/-2)
正確に配線した端子台で高度な機械的安全性を実現する必要があります。これには、電線の確実な接続が含まれます。したがって、試験は単線および撚線を使用して最小断面積、定格断面積、最大断面積で行われます。垂直に固定された端子台が電線に接続されています。断面積に対する試験荷重は、電線の端部に取り付けられます。電線は回転するディスクの中央の開口部37.5 mmを通って供給され、それ自体の軸を中心に135回回転させます。この手順により電線の圧着部分が損傷してはなりません。その後、接点は電線引張試験に合格しなければなりません。フエニックス・コンタクトの端子台は、電線が圧着部分で緩やかに接触するように設計されています。これにより繰り返し圧着後でも同じ特性を保持する電線と接点の損傷を回避します。
屈曲試験の試験パラメータ
試験パラメータ決定のための表。
AWG | 距離H | 負荷 | |
---|---|---|---|
適合線サイズ | |||
0.2 mm² | 24 | 260 mm | 0.3 kg |
4 mm² | 12 | 279 mm | 0.9 kg |
240 mm² | 500 | 464 mm | 20.0 kg |
タンブリングバレル試験
タンブリングバレル試験 (IEC 60068-2-32)
タンブリングバレル試験は、試験対象物を標準の回転式バレル内で、500 mmの高さから50回落下させることをシミュレーションする衝撃試験です。試験は、単独の端子台で実行されます。このプロセスでは、端子台に以後の使用に支障がでるような損傷があってはいけません。これには、DINレールの支持体に影響を与えるすべての損傷の他に、絶縁や空間距離と沿面距離に影響を与えるチッピングや破損が含まれます。フエニックス・コンタクトの端子台の場合、パッケージ化された端子台が、設置前に長距離輸送されることを考慮して、この試験ではケース内の組立て済みの各部品の取付けも保証されます。
端子台の取付け (IEC 60947-7-1/-2)
電線を確実に接続するだけでなく、端子台自体が支持部から緩むことなく力に耐えられることが必要です。支持体への取付け力を試験するために、端子台はメーカーの情報に従って標準のDINレールに取り付けられます。次に、長さ150 mmの金属棒を接続ポイントに固定します。断面積に基づく引張強度および圧力は、100 mmの金属棒の距離と、端子台の接続ポイントおよび取付け部に作用します。このプロセスで、端子台が緩んでいたり、DINレールを外れたりしてはいけません。さらに、ハウジングに許容できない損傷が発生してはなりません。フエニックス・コンタクトの端子台は最適な構造設計により、さまざまなDINレールシステムに確実にしっかり固定します。
適合線サイズ(AWG)) | 適合線サイズ(N) | 鋼棒の適合線サイズ(mm) | |
---|---|---|---|
適合線サイズ(mm²) | |||
0.75 | 18 | 1 | 1.0 |
1 | - | 1 | 1.0 |
1.5 | 16 | 1 | 1.0 |
2.5 | 14 | 1 | 1.0 |
4 | 12 | 1 | 1.0 |
6 | 10 | 5 | 2.8 |
10 | 8 | 5 | 2.8 |
35 | 2 | 10 | 5.7 |
50 | 0 | 10 | 5.7 |
240 | 500 kcmil | 20 | 20.5 |
UT端子台における電線引張試験
電線引張試験 (IEC 60947-7-1/-2)
実際には、張力は配線中または操作中に接続ポイントに影響を与える可能性があります。したがって、正確に配線した端子台で高度な機械的安全性を実現する必要があります。接続ポイントの引張荷重容量を試験するためには、接続ポイントは60秒以上にわたり断面積に基づく所定の張力に耐えなければなりません。この試験は屈曲試験の後に実施されます。この2つの試験を順番に実行することで、必要条件が強化されます。張力は接続ポイントで電線にストレスをかけます。電線は、著しい損傷を受けることなく保持される必要があります。AWG張力は、試験対象物の適合線サイズに基づきます。フエニックス・コンタクトの端子台の試験結果は、要求される最小値より最大150%上回ります。
電線引張強度
IEC 60999/EN 60999/VDE 0609-1に準拠の電線引張強度
AWG | 張力 | |
---|---|---|
適合線サイズ | ||
0.2 mm² | 24 | 10 N |
4 mm² | 12 | 60 N |
300 mm² | 600 | 578 N |
PTV 2,5
機械的強度 (IEC 60947-7-1/-2)
実際の試験では、接続ポイントの機械的強度を確認します。この目的のために、端子台の接続ポイントは、端子接続の品質を損なうことなく繰り返し接続されなければなりません。そのため、定格断面積の単線を使用して、メーカーの情報で指定されるように端子台を5回以上接続および取り外します。スイッチングは、5個の端子ブロックの中央の端子台で実行されます。試験の前後に、端子台は電圧降下試験に合格しなければなりません。接続ポイントは、著しい損傷を受けることなく再接続を繰り返すことに耐える必要があります。試験前の電圧降下は3.2 mVを超えてはいけません。試験後の電圧降下は、試験前に測定される値の1.5倍を超えてはいけません。フエニックス・コンタクトの端子台は、品質低下なしで繰り返しの接続に適しています。可能な接続の回数は、接続テクノロジにより、最大5000サイクルにまで到達するものもあります。
衝撃試験
衝撃試験(IK適合) (IEC 62262)
IEC 62262では、機械的ひずみに対する保護等級(IK値)を判定するための試験手順が記述されています。この保護等級は主に、ケースや箱に関連して判定されます。試験では、定義された衝撃要素(ハンマー)で、水平に取り付けられた試験対象物のさまざまな箇所に、正確に定義されたエネルギーで垂直降下で5回連続して打ち付けられます。衝撃要素の衝撃範囲は半円形を形成します。さまざまな重症度の衝撃要素は、6つのカテゴリに分類されます。Push-in COMBIシリーズのCLIPLINE completeコネクタハウジングの保護等級はIK5です。
IK値と関連データ
表に、IK値と関連する衝撃試験データの概要を示します。
重量 | 直径 | 材質 | 落下高さ | |
---|---|---|---|---|
カテゴリ | ||||
IK01~IK05 | 0.2 kg | 10 mm | ポリアミド | 200 mm |
IK06 | 0.5 kg | 10 mm | ポリアミド | 200 mm |
IK07 | 0.5 kg | 25 mm | スチール | 400 mm |
IK08 | 1.7 kg | 25 mm | スチール | 295 mm |
IK09 | 5.0 kg | 25 mm | スチール | 200 mm |
IK10 | 5.0 kg | 25 mm | スチール | 400 mm |
IKコードと応力エネルギーとの関係
表に、IKコードと応力エネルギーとの関係を示します。IK00値と応力エネルギーとの関係は、この規格では保護されていません。
応力エネルギー(ジュール) | |
---|---|
IKコード | |
IK00 | - |
IK01 | 0.15 |
IK02 | 0.2 |
IK03 | 0.35 |
IK04 | 0.5 |
IK05 | 0.7 |
IK06 | 1 |
IK07 | 2 |
IK08 | 5 |
IK09 | 10 |
IK10 | 20 |
衝撃試験 (IEC 60068-2-27)
衝撃試験は、不規則な間隔で(さまざまなエネルギー量で)生じる衝撃に対する端末接続の抵抗を試験し、記録するために使用されます。そのため、DIN EN 50155およびIEC 61373(鉄道アプリケーションの国際規格)の重症度は、鉄道交通における負荷をシミュレーションするために使用されます。衝撃の定義については、加速度と持続時間が指定されています。IEC 60068-2-27では、3つの空間軸(X、Y、Z)のそれぞれについて、3つの正負の衝撃が規定されています。シミュレーションされる加速度は50 m/s²に達し、衝撃持続時間は30 msです。端末接続部に損傷が生じて、それ以降の使用を妨げることはありません。試験中に試験対象物の接触動作が監視されます。ドイツ鉄道規格が適用されている場合、1μsを超える接触中断は許容されません。フエニックス・コンタクトの端子台はこの耐衝撃性を実現し、強いアプリケーションに
振動。
熱衝撃試験後の200個の試験対象物の電圧降下の略図
熱衝撃試験 (DIN EN 60352 T4)
プロセス市場では、急激な温度変化がプロセス関連の熱源や冷熱源の近くで頻繁に発生します。この試験では、急激な温度変化があっても接続ポイントの接触品質が一貫して高いことが確認されます。試験目的のために、5つの端子台が支持部に取り付けられ、定格適合線サイズの電線に配線されます。この構造は、2室法を使用して急速な温度変化を受けます。温度は端子台の上限および下限温度に近くなります。温度範囲は一般的に-60°C~+100°Cとなります。各気候室内の滞留時間は45分であり、それにより数秒以内に変化が起こります。この変化は100サイクル実行されます。試験後、個々の部品に損傷がなく、さらなる使用が保証されていれば、要件は満たされます。
振動略図
振動試験―騒音信号 (IEC 60068-2-64)
多くのアプリケーションでは、端子台は常に振動と衝撃にさらされています。この干渉は必ずしも調和的で定期的、一貫した周波数ではありません。このような振動は、鉄道車両などの輸送に取付けることによって生じることがあります。このような負荷は、製造機械や採掘技術でも生じます。ここでは、振動試験の重症度を定義するうえで鉄道アプリケーションが主要な役割を果しています。DIN EN 50155では、他の方法で確立されていない場合はEN 61373、カテゴリ1、クラスBが適用されると記載されています。その結果次のようなパラメータになります(表を参照)。振動応力の実際的なシミュレーション用に、試験対象物はラボで広帯域ノイズ誘起振動を受けます。これは、端子台と接続された電線に現実的な加速度が発生することを意味します。混合信号が現実的なものであるために、加速と振幅の特定の分布が保証される必要があります。カテゴリー1Bの試験では、対象物に5Hz~150Hzの範囲の周波数を加えます。加速度の実効値は最大5.72 m/s²です。試験対象は3本の軸(X、Y、Z)それぞれで5時間試験を行います。振動のほか、試験中に電気接触の中断も監視します。この間、端子台に以後の使用に支障がでるような損傷があってはいけません。さらに試験中1 μsを超える接触の中断は許容されません。接触抵抗は、試験の前後で測定されます。抵抗は初期値の1.5倍を超えてはなりません。フエニックス・コンタクトのすべての接続テクノロジの端子台は、容認できない接触の中断なしで規格の要件を達成します。したがって、振動環境下でも、端子接続の確実な機能が確保されなければならない厳しいアプリケーションに最適です。
表:軸に対する加速度の実効値
この表は、カテゴリと軸に対する加速度の実効値を示しています。
方向 | RMS値(m/s²) | |
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カテゴリ | ||
1B―車体 | 垂直 | 5.72 |
1B―車体 | 垂直 | 2.55 |
1B―車体 | 縦方向 | 3.96 |
1B―ボギー | 垂直 | 30.6 |
1B―ボギー | 垂直 | 26.6 |
1B―ボギー | 縦方向 | 14.2 |
カテゴリ1B準拠の試験略図
PT端子台の振動試験
振動試験正弦波 (IEC 60068-2-6)
この試験は、例えば回転する質量によって生じるような、連続的に振動を受ける端子接続の耐振動性を試験します。このような振動は、例えば発電所のタービンや発電機、風力発電所、モータやドライブで生じます。振動試験システム(振動台)で、検査対象に高調波の正弦波振動を加え、均等な振動力のシミュレーションを行います。試験はサイクルごとに、5~150 Hzの範囲で行割れ、次に5 Hzに戻ります。プロセス中、振動台の振動の振幅は最大25 Hzで一定に保たれます。しかし、この値より上ではコンポーネントの加速は一定のままです。加速度の実効値は最大50 m/s²です。周波数は毎分1オクターブ変化します。すなわち、60秒ごとに周波数が2倍または半分になります。試験対象は3本の軸(X、Y、Z)それぞれで5時間試験を行います。この間、端子台に以後の使用に支障がでるような損傷があってはいけません。さらに試験中1 μsを超える接触の中断は許容されません。接触抵抗は、試験の前後で測定されます。抵抗は初期値の1.5倍を超えてはなりません。すべての接続テクノロジは、容認できない接触の中断なしで規格の要件を達成します。したがって、振動環境下でも、端子接続の確実な機能が確保されなければならない厳しいアプリケーションに最適です。
振動試験の抜粋