部品と保護回路

サージ電圧発生時は、影響を受ける機器とケーブルを等電位ボンディングにきわめて短時間に短絡させる必要があります。これに適した特性を持つ部品が多数用意されています。基本的にこの部品は応答動作と放電性能が異なります。

サプレッサダイオード

サプレッサダイオードの記号とU/I特性曲線  

サプレッサダイオードの記号とU/I特性曲線

特性:

  • 通常、この機能を精密保護と呼びます。
  • きわめて短時間で応答。
  • 低い制限電圧。
  • 標準バージョンは低電流容量で高キャパシタンス。
    • 定格電圧が5 Vの最大放電性能はおよそ750 Aです。
    • 定格電圧がさらに高い場合、放電性能は大幅に減少します。

特長:

さらに定格電圧が高く放電性能が大きいダイオードもあります。ただしそのようなダイオードはかなりサイズが大きく、複合型の保護回路では使用することはほとんどありません。

主な仕様項目:

UR = 逆電圧
UB = 降伏電圧
UC = 制限電圧
IPP = ピークパルス電流
IR = 逆電流

バリスタ

金属酸化物バリスタの記号とU/I特性曲線  

金属酸化物バリスタの記号とU/I特性曲線

特性:

  • 通常、この機能を標準保護と呼びます。
  • 応答時間は数十ナノ秒程度の範囲です。
  • ガス入り放電管よりも短時間で応答します。
  • 続流が発生しません。

特長:

計測制御技術では定格放電電流が2.5 kAのバリスタを標準保護として使用します。電源分野では、定格放電電流3 kAのバリスタをタイプ3アレスタの保護回路の主要保護部品に使用し機器を保護します。タイプ2アレスタで使用するバリスタはさらに強力です。この用途では、標準バージョンは定格放電電流20 kAに耐えることができます。特殊アプリケーション用に最大80 kAのタイプ2アレスタも用意されています。

主な仕様項目:

A = 高抵抗動作エリア
B = 低抵抗動作エリア/制限エリア

ガス入りサージ保護機器

ガス入りサージ保護機器の記号と点弧特性曲線  

ガス入りサージ保護機器の記号と点弧特性曲線

特性:

  • 通常、この機能を標準保護と呼びます。
  • 応答時間は中ナノ秒範囲です。
  • 標準バージョンの放電電流は最大20 kAです。
  • 放電性能は高いけれどきわめてコンパクトな部品です。

特長:

この部品では、ストレス依存点火で数百Vにも達する残留電圧が発生します。

主な仕様項目:

1)静的応答動作
2)動的応答動作

スパークギャップ

スパークギャップの記号と点弧特性曲線  

スパークギャップの記号と点弧特性曲線

特性:

  • 雷電流アレスタの主要部品
  • 続流遮断容量が高い
  • 応答速度が比較的高い
  • 電圧依存点弧動作

特長:

多くの場合、強力な雷電流アレスタの主要部品はスパークギャップです。この部品には近接して向き合う2つのアークホーンがあります。サージ電圧でアークホーンの間に火花が発生しアークが生じます。このプラズマ場でサージ電圧が短絡します。このとききわめて大きく峻度の高い電流が立ち上がり、その値は百kAの単位に至ります。スパークギャップには開放型と密閉型があります。物理的に、開放型のスパークギャップの方が放電性能や遮断容量が大きくなります。

消弧技術はスパークギャップにきわめて効果的であることが実証されています。この場合、いわゆるバッフル板も電極の反対側に取り付けられています。電極間のアークはバッフル板に向かい、そこで消失します。この結果アーク火花が形成されてもスパークギャップから吹き飛ばされて簡単に消失します。サージ電圧が存在しなくなるとスパークギャップは再び高抵抗を示します。

主な仕様項目:

UZ = 応答電圧/ストライク電圧
tZ = 応答時間

信号インターフェース用組合せ回路

アプリケーションに応じてさまざまな部品を使用します。個別で使用することも複雑な保護回路で組み合わせることもできます。

抵抗性減結合による2段階保護回路(左)と誘導性減結合による3段階保護回路(右)

抵抗性減結合による2段階保護回路(左)と誘導性減結合による3段階保護回路(右)

さまざまな部品を組合せて必要な部品の特長を寄せ集めることができます。たとえばガス入り放電管とサプレッサダイオード回路を組み合わせるとノイズに弱いシグナルインターフェースに使用できる標準保護回路になります。この組合せにより、可能な限り最善の保護レベルを持つ高性能・高速応答の電圧保護が実現できます。

部品を間接的に並列で切換え、保護段にします。言い換えれば、抵抗性または誘導性減結合エレメントを部品間に挿入して閉回路を構成することになります。異なる時間に応答する互違いの保護回路になります。

保護回路は主に次の要素により特長が異なります。

  • 保護段の数
  • 回路の動作方向(コモンモード/ノーマルモード保護)
  • 定格電圧
  • 信号周波数の減衰効果
  • 電圧保護レベル(制限電圧)

多段型保護回路の機能

2段階保護回路での分電  

2段階保護回路での分電

サージ電圧が発生すると、サプレッサダイオードが最も速い部品として最初に応答します。放電電流はサプレッサダイオードと上流の減結合抵抗を流れます。電流が減結合抵抗を流れると電圧降下が発生します。これはサプレッサダイオードとガス入りサージ保護機器の応答電圧の差に対応します。

このためサプレッサダイオードのサージ電流が過負荷になる前にガス入りサージ保護機器の応答圧が最大になります。つまり、ガス入りサージ保護機器が応答する時点で放電電流はガス入り放電管をほぼ通過しています。ガス入り放電管の残留電圧が最大の20 Vになるとサプレッサダイオードが解放されます。サプレッサダイオードを過負荷にしない低放電電流の場合、ガス入りサージ保護機器は応答しません。

図の回路では速い応答速度と低い制限電圧を持ちながら高い放電性能を持つという特徴を示します。誘導性減結合による3段階保護回路も同じ原理で動作します。ただし通信は2段階となり、最初にサプレッサダイオードからバリスタに伝わり、次にガス入りサージ保護機器に伝わります。

分電の仕組みは電源の異なる保護団同士でも有効です。UWはタイプ1とタイプ2のアレスタ間、タイプ2とタイプ3のアレスタ間のケーブルを通じて降下します。ただし、ケーブルの長さにかかわらず保護段同士を組合せ可能な電源アレスタコンセプトもあります。

主な仕様項目:

UG = ガス入りサージ保護機器の応答電圧
UD = サプレッサダイオードの制限電圧
UW = 減結合抵抗を介した差動モード電圧

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