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効率とパフォーマンス―Wi-Fi 6 WLANの標準

オートメーションにおけるイーサネットの出現により、多数のアプリケーション、とくに移動またはモバイルアプリケーションで無線LANが構築されるようになりました。このため、近年システム内のWLANネットワークとWLAN機器の数は大幅に増加しました。この成長の速度を保つには、高性能で効率的かつ堅牢な無線LANが必要です。Wi-Fi 6/6Eにより、こうした強みを持った新しいWLANテクノロジが利用可能になりました。

特長

  • 非常に安全:セキュリティの最高規格WPA3に適合
  • ユーザー容量が非常に高い場合、OFDMAおよびMIMOテクノロジによりパフォーマンスが向上
  • データ伝送速度最大1,440 Mbpsの高いパフォーマンス
    [x]- Wi-Fi 6Eにより専用6 GHz帯域で信頼性の高い通信(国別の承認による)
  • モバイルアプリケーション向けの高速で確実なローミング

IEEE 802.11ax規格

IEEE 802.11axとしても知られるWi-Fi 6は、無線ネットワークの新たな規格となりました。主な機能は以下の通りです。

  • より高速なデータ伝送速度
  • 混雑した環境でのパフォーマンス向上
  • 低い遅延発生率
  • エネルギー効率の向上

したがって、Wi-Fi 6は周波数スペクトルを効率的に活用し、1つのネットワーク内のすべての機器のデータスループットを改善し、同時に柔軟性と信頼性を確保します。この新しい規格は、デジタル化が加速する世界における無線接続に対する需要の増大に適合するよう設計されています。

WLAN規格Wi-Fi 4とWi-Fi 6の比較

Wi-Fi 6の導入は、無線ネットワーク開発における重要なマイルストーンであり、前のWi-Fi 4に対する多数の改善が施されています。

Wi-Fi 4

Wi-Fi 6

IEEE規格 IEEE 802.11n IEEE 802.11ax
セキュリティ規格 WPA2 WPA3
周波数範囲 2.4 GHzと5 GHz 2.4 GHz、5 GHz、6 GHz(国別の承認による)
MU-MIMO ダウンロードのみ ダウンロードとアップロード
最大伝送速度 300 Mbps(2x2 MIMO、40 MHz) 2,400 Mbps(2x2 MIMO、160 MHz)
ターゲット起動時間(Target Wake Time:TWT)
OFDMA
BSSカラーリング
ワイヤレスネットワーク

6 GHzスペクトルのWLAN:Wi-Fi 6E

Wi-Fi 6EはWi-Fi 6のすべての機能を6 GHz帯へ移したものです。Wi-Fi 6Eはこの追加周波数範囲を活用して、より幅広いチャネルをより少ない干渉で利用できるため、伝送速度とパフォーマンスが向上します。Wi-Fi 1~6 は6GHz帯を使用しません。そのためWi-Fi 6E機器はより干渉の少ない低密度なエリアを独占しています。これによって、遅延発生頻度も非常に低くなります:データがすばやく伝送されるため、遅延が発生しにくくなるためです。

Wi-Fi 6とWi-Fi 6Eの機能

OFDMA複数アクセス
BSSのカラーリングと空間的な周波数再利用 (Spatial Reuse)
MIMOテクノロジ
サイバーセキュリティロックと指
ターゲット起動時間(Target Wake Time:TWT)
OFDMA複数アクセス

OFDMA(直交周波数分割多元接続)は、アクセスポイントが複数機器(クライアント)と1つのチャネルで同時に通信できるよう、効果的にチャネルを分割することを可能にします。このテクノロジによって、より多くのユーザーをより短い時間で操作することができます。結果として効率が大幅に向上し、混雑するネットワークにおける遅延が著しく削減されます。QoS全体の改善によって、WLANが高密度な環境において帯域幅を有効に活用できます。

BSSのカラーリングと空間的な周波数再利用 (Spatial Reuse)

基本サービスセット(BSS)による空間的な周波数再利用(Spatial Reuse)機能で、相互に接近しているチャネルをより効率的に使用し、干渉を軽減できるようになります。BSSはカラーコード(または番号)をマーキングすることにより、同一チャネル上の異なるWLAN機器感の信号を区別する技術です。これによって、複数の機器が相互に干渉せず同一チャネルを利用できるようになります。

MIMOテクノロジ

MU-MIMO(マルチユーザー、複数入力、複数出力)は、アクセスポイントが複数の機器を順番にではなく同時に操作可能にするテクノロジです。複数機器間で利用可能なすべての空間ストリームを分割することにより、大型のデータパケットをより効率的に処理することができます。このため、特に高密度な環境においてネットワークのパフォーマンスが大幅に向上します。

サイバーセキュリティロックと指

セキュリティ規格WPA3は、セキュリティの新たな層を追加することで無線ネットワークのセキュリティを向上させました。オープンなネットワークで安全な通信を確保するため、Wi-Fi 6対応型機器によるWPA3のサポートが加速しています。

ターゲット起動時間(Target Wake Time:TWT)

ターゲット起動時間(Target Wake Time:TWT)により、機器はアクセスポイントとの通信を行う特定の時間を定義できます。これによって、アクセスポイントにデータを伝送するタイミングまで機器をOFFの状態にしておくことができます。この機能はバッテリー駆動機器の実行時間延長や省電力に役立ちます。

トポロジ:WLANネットワークのモバイル最大による自動ローミング

WLANネットワークのモバイルデバイスによる自動ローミング

ローミング―ネットワークのモビリティ

ワイヤレスLANの大きな強みはネットワークのデバイスモビリティです。大規模なWLANネットワーク内の機器は自由に移動できるため、無線信号を最もよく受信できるアクセスポイントに自動的に無線接続を切り替えます。このプロセスをローミングと呼びます。

WLANネットワークのワイヤレスフィールドは追加したアクセスポイントを使用することで無限に拡張できます。WLANクライアントと呼ばれる最大でセルを切り換えることのできる速度と信頼性はオートメーションアプリケーションの決め手となります。高速で信頼性の高いローミングは、フエニックス・コンタクトの産業用WLAN製品の優れた特長です。

アプリケーション例 WLANは幅広い産業用アプリケーションで使用可能です。プロセスデータや制御データの通信の必要性の増加と、多くのアプリケーションでのモビリティの増加により、無線ネットワーク通信使用の必要性が高まっています。

工場のAGV
スマートデバイスを使用して機械に無線アクセス
動作中の機械部品との堅牢な通信
工場のAGV

スマートファクトリーでは、製造プロセス最適化のため、自動運転車両の利用が増えています。無人搬送車システムとその他のネットワーク機器との信頼性の高い通信を保証する上で、Wi-Fi 6は必須インフラを提供します。例えば、これによって製造工場をより効率的に移動できるようになります。

無人搬送車システム向けのその他のソリューション
スマートデバイスを使用して機械に無線アクセス

スマートファクトリーでは、柔軟性の重要度が増しつつあります。プロセスを可能な限り効率的にするためには、さまざまな場所で機械と製造システムが柔軟な使用をサポートしていなければなりません。機械を製造ネットワークに接続すれば、デジタル末端機器を介してモバイルでの操作、セットアップ、メンテナンスが可能になるため、スマートファクトリーに必要な柔軟性が生まれます。Wi-Fi 6は継続的に高速で安定したデータレートと、 多数の機器を使用している場合でも高速データ伝送を可能にするネットワークを提供します。

動作中の機械部品との堅牢な通信

産業用イーサネット機器の特長を活用すると、モバイルやアクセスが困難な機械部品を無線通信でネットワークに組み込むことができます:さらに簡単でコスト効率の良い無線ネットワーク開発、過酷な産業環境下で動作中の機械部品とのメンテナンスがほとんど不要で摩耗フリーの通信、またSafetyBridgeやPROFINETならびにPROFIsafe経由の安全な無線通信